2011-04-30

森博嗣 / キラレ×キラレ

森博嗣の X シリーズ 2 作目「キラレ×キラレ CUTTHROAT」を読みました。以下ネタバレ。

普通は年齢を重ねるほど、それだけの過去を持っているわけだから、つい自分の経験を語るようになるものだが、彼らにはそれがない。 p.56

情況によるけれど、聞かれもしないことは言わないほうがいいんだよなぁ。などと、ブログを書きながら思います。

ところで、ここでいう彼らというのは、「椙田泰男」と「小川令子の前職での上司」のふたりのこと。この作品では、物語の進行と直接関連の無さそうな内容で、元上司を回想する場面が何度かあります。小川と、その元上司が誰なのか気になります。

小川は、西之園萌絵よりも年上で、椙田泰男よりも年下です。30代後半〜40代くらい。ちなみに元上司の性別は具体的に書かれていないので、女性であるかも知れません。

さてさて、トリックとかは大したことないです。物理的に難しいわけではない。ただ犯人が誰か、と考えたときに、どのように被害者を選んだのか、を考える必要でした。物語もその線で進んでいきます。そして森博嗣の最近の作品にありがちな、周りからみると非合理的な動機なわけですが、自分の中では合理的な動機です。

自分が知りたいことと、自分に求められていることを混同しないように p.230

これも油断すると、つい混同してしまいます。やるべきことと、やりたいことが、できるだけ同じあるいは邪魔にならないようなポジションを取れるようにはしているけれど、それでもまあ、そうもいかないことが多々あります。私がどう思ったか、何をしたか、なんてことは、私の外部からみた時にはなんの価値もない。外部に何を提供したか、で決まることを忘れないようにしなければ、と思います。当たり前なのことなのですが、つい忘れるのですよ。